(続)COVID-19各国の死亡者の推移を比較する

日本でCOVID-19による死亡者がはじめて出たのは2月13日でした。それから51日経った4月4日の累計死亡者数は77人で、いままでのところ死亡者の絶対数も増加率も西欧諸国に比べて著しく小さいままで推移しています。ちなみに、2019年の推定人口動態の死亡者数を365日で割ると、日本は1日平均で3,770人が死亡しています。51日間に19万人くらいが亡くなっている中で77人がCOVID-19で亡くなったということです。いろいろ意見や評価はあるでしょうが、日本は西欧諸国に比べて「結果的に今までのところはそれほど悪くない状況」にあります。しかし問題はここからです。日本でも爆発的感染拡大が起こる可能性はあるとして、経済社会活動を著しく制限する「自粛」が呼びかけられていて、西欧諸国のロックダウンに近い状況になっています。これはいつまで続くのか、どうやったら感染拡大の懸念と「自粛」を終わらせることができるのか。どうやったら見えない不安を「見える化」して状況把握ができるのか。それが大きな課題です。

ここまでの経緯を見返すと、日本は、37.5℃の熱が4日続くなどの「感染の疑いがある症状になった人」と「感染確認された人の濃厚接触者」に絞ってPCR検査を行ってきました。そのため西欧諸国に比べると検査数も感染確認者数も著しく少ない水準で推移してきました。それによって感染確認患者をほぼ全て指定病院に受け入れて対応することができ、結果として医療体制の維持や死亡者の発生抑制を実現してきました。しかし逆に、無症状や未発症や軽症の感染者がどこにどれくらいいるかということはほとんど見えていない状況にあります。これが「見えない不安」です。

また、日本は、感染初期段階から感染拡散場所を探し出す「クラスター対策」を行ってきました。保健所の人が感染確認された人の行動履歴の聞き取り調査を行って濃厚接触者を調べ上げていくという地道な手間のかかる作業です。これによって二次・三次の感染拡大をなんとか抑止してきました。ところが、保健所の調査に『個人情報保護』をタテに協力しない「感染経路不明の感染確認者」が増えてきました。感染確認者数が増え、その中の感染経路不明者が増えていくと、人海戦術による「クラスター対策」はだんだん機能しなくなり、見えていないウイルスの二次・三次拡散場所がどんどん増えていく危険が高まります。これも「見えない不安」です。

見えない一方で、西欧諸国のロックダウンに相当する緊急事態宣言は行っていないものの、外出やイベントや営業の「自粛」を求めて、すでに経済社会活動は実質的にロックダウンに近い状況になっています。これは個人と経済社会に極めて大きな犠牲を強いるものです。トランプ大統領がイースター(4月13日)に「Re-open(経済社会活動の再開)」したいと言ったとき、「国民の命か金か」という激しい反発が起こりました。しかし、個人の行動や移動や経済活動の自由をいつまでも制限し続けるわけにはいきません。「Re-open」はできるだけ早く行う必要があります。そのためにはウイルスの居場所を効率的に正確につきとめられるシステムが必要です。それはビッグデータを活用した迅速で精度の高い「クラスター対策」を実現するということです。それが「見える化」すれば人々は安心して経済社会活動を「活発に再開」することができます。

外を歩き回る人はほぼ全員がスマホか携帯電話を持っています。感染確認者一人一人から聞き取り調査をしなくても、位置情報履歴は携帯電話会社やクラウドサービスのサーバーや決済システムのサーバーに存在しています。課題は、技術的なことではなく、『個人情報保護』という大きな壁を乗り越えてこのビッグデータを活用できるかどうかにあります。国民の命も自由も金もどれも大切なので、ウイルスとの戦争に勝つために目的を絞って『個人情報』を使わせてほしいということです。西欧諸国ではこの議論がすでに始まっていますし、日本政府もビッグデータの提供についてすでに企業に要請を行いました。

また、日本は、無症状や軽症の感染確認者を病院以外の宿泊施設や自宅で隔離することにして、各都道府県がその準備に入りました。これによって隔離体制が強化されるので、積極的に検査を拡大して感染者を見つけていくことができるようになります。また、不幸にも感染してしまった人も、症状がなくなってから24時間ごとの検査で2回続けて陰性になれば社会復帰できます。重症化して死亡する人の割合は比較的少なく、多くの人は抗体保持者になって社会復帰できます。無症状や未発症や軽症の感染者が早く見つかるようになれば、先手を打った「クラスター対策」を行うことができます。

これらの体制が整っていって「見える化」が進めば、危機煽りの流言飛語は影響力を失っていき、「Re-open」ができるようになります。あえて政府に苦言を呈するとすれば、現状や課題や対策の「見える化」や「説得力」が著しく劣っていることです。それも含めて早く実現されることを切に望みたいと思います。


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