アメリカの貿易はどう変わってきたか(日本の地位低下は著しい)

アメリカの貿易収支赤字はどんどん拡大を続けてきました。それはグローバルな分業化による世界経済全体の貿易依存度の高まりを反映しているともいえます。アメリカの貿易はこうした拡大を続ける過程で、どのように変わってきたのでしょうか。

次のグラフは、1978年から2011年(暦年)の間に、アメリカとの二国間貿易収支が国別にどう推移してきたかを示しています。ここでは、日本中国メキシコ石油輸出国機構(OPEC)加盟国カナダヨーロッパ(EU以外も含む)・(および)その他の国と地域に分けてみています。メキシコとカナダは、アメリカと長い国境を接する隣国であって、<北米自由貿易協定(NAFTA)>を締結している国です。

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上のグラフでも近年の動きはかなりよく分かりますが、構成比率を見ていくと、その時にアメリカにとってどの国々との二国間貿易が一番大きな赤字だったかを明確に理解し易くなります。

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1980年代初めまでは、<第二次オイルショック>によって石油輸出国機構(OPEC)加盟国に対する貿易赤字が最も大きくなっていました。しかしその後は、日本との間の貿易赤字が大きくなり、1985年には<プラザ合意>によるドル安協調誘導が行われました。しかし、ドル安による貿易赤字の縮小は日本との間よりも日本以外の国との間の方が大きかったので、貿易赤字全体に占める日本の割合はむしろ1993年まで上昇が続きました。

1978年に改革開放路線に転じた中国は、とくに1992年頃から輸出主導による経済急成長期に入り、それによってアメリカの対中国貿易赤字もそのあたりから急激に拡大しました。そして、ほぼ2000年までに、アメリカの最大の貿易赤字相手国は日本から中国へと変わりました。

1992年の<北米自由貿易協定(NAFTA)>締結によって、メキシコとアメリカの貿易は大きく増加しました。カナダはその以前からすでにアメリカの最大貿易相手国であったので、協定によってメキシコほどの大きな変化はなかったように見えます。

貿易収支は輸出と輸入の差額ですから、まず輸入の方から見ていきます。

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これを見ると、アメリカの輸入額全体は急増を続けてきたにもかかわらず、日本からの輸入額(勿論米ドルベース)はほとんど増えてきていないことが分かります。とくに1995年以降はほとんど横ばいから減少に転じているように見えます。

更に輸入額の国別構成比でみると、日本の地位の低下の様子がより明確に現れてきます。

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アメリカの輸入に占める日本の割合は、<プラザ合意>翌年の1986年をピークに、以降はほぼ一貫して低下を続けていることが分かります。そしてほぼその割合の低下相当分を中国が割合を伸ばして埋めてきました。

北米自由貿易協定(NAFTA)>締結以降、メキシコはアメリカの輸入に占める割合を伸ばしてきました。カナダも貿易額は増えていますが割合は少しずつ低下してきています。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国からの輸入は、もっぱら原油価格によって変動します。しかし、アメリカの輸入額全体が大きく増えてきたことで、原油輸入の割合は相対的に低下してきています。

ヨーロッパ全体からのアメリカの輸入は、カナダと同様に、貿易額は増えていますが割合は少しずつ低下してきています。

輸出についても同様なグラフで見てみます。

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輸出も概ね輸入と同じような傾向が見て取れます。アメリカの輸出全体はかなり急激に増加してきました。とくに<北米自由貿易協定(NAFTA)>締結以降、メキシコカナダに対する輸出額は大きく増加しました。

しかしながら、日本に対する輸出は長い間横ばい水準が続いていて、アメリカの輸出額全体に占める割合は、日本の<バブル経済>ピークにあたる1990年をピークとして、一貫して低下を続けています。

日本にとっては、アメリカは、つい最近まで最大の輸出および最大の輸入の最大貿易相手国でしたし、現在もなお中国に次いで圧倒的な第2位の貿易相手国です。しかしながら、アメリカ側から見ると、貿易相手国としての日本重要性は著しく低下してきており、しかもその低下は現在もなお続いています。

コメント
経済紙でも見られない貴重な資料の数々に感激感服致しました。こちらが咀嚼できるようになりましたら活用しトラックバックさせて戴きたいと思います。よろしくお願い致します。
  • hinokikouen
  • 2014/01/26 8:03 AM
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