日本に住む外国人の年齢構成を見てみる

日本に住む(在留する)外国人について、以下の二つの記事で、「在留資格」(日本で暮らす目的や理由)と「国籍」(どこから来たか)を軸に10年くらいの傾向を見てみました。要約すると、日本に住む外国人は2008年をピークに減少に転じ、2012年をボトムに再び緩やかに増加に転じていますが、2014年末現在ではまだ2008年の水準に回復していません。在留資格別では、「永住者等」が少しずつ減少を続けていて「永住者等以外の長期在留者」が近年少し増加しています。また、国籍別では、ブラジル・ペルーの「日系外国人」と特別永住者・韓国の「韓国・朝鮮」の減少が一貫して続いていて、近年の全体の増加はベトナム・ネパールの急増によって生じています。

 「日本に住む外国人の数と中味の変化を見てみる」(在留資格)
 「日本に住む外国人の国籍別の変化を見てみる」(国籍)

法務省「在留外国人統計」データ整理の最後の分析軸は「男女別・年齢階層別」です。直近の2014年の状況を以下で概観してみます。とくに、現在の「永住者等」の男女別・年齢階層別の構成には過去の歴史が反映されています。

まず初めに、2014年の日本の年齢階層人口ピラミッドに占める外国人在留者の割合を見てみます。

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2014年の日本の人口は127,083千人でした。そのうち在留外国人は2,122千人で、僅かに1.67%を占めるに過ぎませんでした。しかし、年齢階層別にみると、20代人口12,881千人のうち在留外国人は549千人(4.26%)を占め、また30代人口16,137千人のうち在留外国人は479千人(2.97%)を占めています。すなわち、日本に住む外国人は若い人が多く、高齢者人口に比べてかなり少ない日本の若い世代の人口を少しだけ補っていることが分かります。

このことを、在留外国人統計の男女別・年齢別データを使って、「在留資格」と「国籍」にブレークダウンして見ていきます。男女別・年齢階層別の構成は「在留資格」と「国籍」によって著しく異なることが見えてきます。

年齢階層別 在留資格別1 S.jpg
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まず、「在留外国人総数」(上の左上のグラフ)は、2,122千人で、男性が980千人、女性が1,142千人で、女性が男性より17%多くなっています。年齢階層構成は、19歳未満の未成年者が著しく少なく、20歳以上の成人人口は年齢が上になるほど少なくなるピラミッド型になっているので、全体としてはやや女性側が膨らんだ「クリスマスツリー型」になっています。これが全体像です。

このうち日本により長く暮らしている「永住者等」(上の左下のグラフ)は、在留外国人総数の64%にあたる1,367千人で、男性が568千人、女性が799千人で、女性が男性より41%も多くなっています。年齢階層構成は、すでに長い期間日本に住んでいる人が多く含まれるので、19歳以下の未成年もある程度いて、全体としては女性側にかなり偏った「つぼ型」になっています。

他方、日本に長く暮らしていない「永住者等以外の長期在留者」(上の右下のグラフ)は、在留外国人総数の36%にあたる754千人で、男性が412千人、女性が342千人で、こちらは逆に女性が男性より17%少なくなっています。「留学」と「技能実習」が在留目的の1位・2位を占め、日本に住んでいる期間は短いので、20代が400千人で53%30代が194千人で26%、合わせて79%を占めていて、それ以外の年代はきわめて僅かしかいません。したがって、全体としてはやや男性側に膨らんだ「地球ゴマ型」になっています。

「在留資格」別の年齢階層構成は、主に日本で暮らしている期間の長さの違いによって著しく大きな違いが生じています。そこで、住んでいる期間の長い「永住者等」について、更に細かい「在留資格」別にブレークダウンして見てみることにします。「在留資格」によって男女別・年齢階層別の構成は著しく異なっています。

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特別永住者」(上の左上のグラフ)は、358千人で、男性が179千人、女性が180千人で、男女ほぼ同数になっています。年齢階層構成は、60歳代が最も多く、69歳以下の2世(子)・3世(孫)・4世(ひ孫)世代は完全な「逆ピラミッド型」になっています。これは、この在留資格の新たな許可は日本で生まれた子孫に限られる上に、若い世代は日本国籍への「帰化」によって減り続けているので子孫の出生数が減り続けるという、減少の循環が働いているからです。子孫の出生数減少によって、「特別永住者」人口の減少要因として「帰化」が減っていき「死亡」が増えていくことになっていくと考えられます。

日本人の配偶者等」(上の右上のグラフ)は、145千人で、日本の女性と結婚した外国人男性が48千人、日本の男性と結婚した外国人女性が97千人で、女性が男性の2倍以上になっています。年齢階層構成は、30代が最も多く年齢が上がるほど急激に少なくなっているのは、ある程度の期間を過ぎると在留期間無制限の「永住者」に移行していく人が多いためです。人数は毎年減少しているので、新たに日本人と結婚して日本に住み始める外国人よりも、すでに日本人と結婚していて「永住者」に移行する外国人の方が多いということになります。ちなみに、これは日本では日本人男性と外国人女性の国際結婚の方が多いことを示しているのではなく、日本人の国際結婚の場合は男性側の国に住む傾向が強いということを示していると考えられます。

定住者」(上の左下のグラフ)は、160千人で、男性が74千人、女性が85千人で、女性が15%多くなっています。年齢階層構成は、日系人(日本から移民した人の子孫)とその家族が多くを占めていて、受け入れ制度が始まってから20年を超えるので子供も増えている反面、帰国するか在留期間無制限の「永住者」に移行するかしているので、40歳以上の人口はぐっと少なくなっています。

永住者」(上の右下のグラフ)は、677千人で、男性が255千人、女性が422千人で、女性が男性より65%も多くなっています。これは女性が多い「日本人の配偶者」から「永住者」に移行した人が多く含まれるからです。年齢階層構成は、一定の期間以上日本に住んだ人が「永住者」資格を得られるので、40歳以上が多くなっていますが、高齢者人口はまだ少ない状態にあります。

さて次に、「国籍」別の「男女別・年齢階層別」構成の違いを在留者数の多い順に見ていくことにします。なお、国・地域別の男女別・年齢別の統計は、3か月未満の「短期在留者」を含む「在留者総数」になっています。

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中国」(上の左上のグラフ)は、735千人の最大勢力で、男性が309千人、女性が426千人で、女性が男性よりも38%も多くなっています。「中国」は、「定住者」以外のほぼ全ての「在留資格」で最大数を占めており、とくに「日本人の配偶者」(日本人男性と結婚した外国人女性)でも最大数を占めているからです。年齢別人口構成は、「クリスマスツリー型」よりも年齢が高い人口が少ない「とんがりキノコ型」になっています。これは日本国籍に「帰化」する人が少なくないためです。

特別永住者」(上の右上のグラフ)は、国籍ではありませんが、みなし国籍として再掲しています。統計上2番目に多い「韓国・朝鮮」543千人から「特別永住者」358千人を引いた184千人を「韓国」とみなして後で別途説明します。

フィリピン」(上の左下のグラフ)は、3番目に多い236千人で、男性が59千人、女性が177千人で、女性が男性の3倍も多くなっているのがきわめて特徴的です。これは、「日本人の配偶者」(日本人男性と結婚した外国人女性)で中国と並ぶ多数を占めるからです。また、「技能実習」資格で中国・ベトナムに次ぐ13千人が在留しており、看護師・介護福祉士を目指す女性が多く含まれていると考えられます。年齢別人口構成は、40代・30代が多くなっていますが、これは日本国籍に「帰化」する人が「中国」に比べて少ないためではないかと推測されます。

韓国」(上の右下のグラフ)は、法務省統計の「韓国・朝鮮」543千人から「特別永住者」358千人を引いた184千人を「韓国」とみなしています。「韓国」は、「中国」「特別定住者」「フィリピン」に次ぐ4番目に多い在留外国人です。男性が71千人、女性が113千人で、女性が男性より59%も多くなっています。「日本人の配偶者」が15千人で4位・「家族滞在」目的が13千人で2位になっていることなどによるためではないかと推測されます。年齢別人口構成は、女性は、40代・50代が最も多く60代も相応にいて、中国やフィリピンに比べて年齢層が一段高いことが特徴的です。他方、男性の方は、仕事目的の「在留資格」の人が多く、後で述べる「米国」とかなり年齢階層別の構成が似通っています。

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ブラジル」(上の左上のグラフ)は、(「韓国・朝鮮」を2つに分けなければ)4番目に多い178千人で、男性が96千人、女性が81千人で、女性が男性より16%少なくなっています。年齢別人口構成は、働き盛りの30代・40代が多く子供もかなりいて高齢者は少ない「つぼ型」になっています。これは、「定住者」資格の日系人(日本から移民した人の子孫)が多くを占め、「定住者」は配偶者と実子も在留が認められるので家族で来た人たちも多く、また受け入れが始まってすでに20年以上が経過して日本で生まれた子供も少なくないからです。しかし、総数は2008年のピークから半数近くまで減っています。日本国籍に「帰化」した人は多くないので、家族がいない人たちを中心にブラジルに帰国したのではないかと推測されます。

ベトナム」(上の右上のグラフ)は、(「韓国・朝鮮」を2つに分けなければ)5番目に多い102千人で、男性が59千人、女性が43千人で、女性の方が男性より27%少なくなっています。年齢別人口構成は、20代が65%を占める「地球ゴマ型」になっています。「留学」資格在留者数が「中国」に次いで2番目に多い33千人で、「技術実習」資格在留者も「中国」に次いで2番目に多い34千人です。日本に学びに来る若者が近年急激に増えているのです。

2014年末の「国・地域別」のこの後の順位は、「台湾」85千人・「米国」80千人・「タイ」73千人・「ペルー」48千人・「ネパール」43千人・「インドネシア」43千人と続きますが、最後に特徴的で対照的な「米国」と「ネパール」の2つを取り上げます。

米国」(上の左下のグラフ)は、(「韓国・朝鮮」を2つに分けなければ)7番目に多い80千人で、男性が51千人、女性が29千人で、女性は男性の半分程度です。年齢階層別構成は、在留者数は多くないにもかかわらず、女性が著しく少ない「クリスマスツリー型」に幅広く分散しています。また、在留資格の「教育」5千人・「公用」2千人・「宗教」2千人・「外交」1千人は国別1位で、短期滞在目的の「家族訪問」8千人は国別2位など、在留目的や理由が最も広く分散しています。

ネパール」(上の右下のグラフ)は、(「韓国・朝鮮」を2つに分けなければ)10番目に多い43千人で、男性が28千人、女性が15千人で、女性は男性の半分程度です。年齢階層別構成は、同じように近年急増している「ベトナム」に似た「地球ゴマ」型になっています。在留資格の「留学」16千人は国別4位、「家族滞在」10千人は国別3位、「技能」7千人は国別2位で、ほとんどはこれに集中しています。ここからやや大胆に推測すれば、ネパール・インド料理人とその家族と若い留学生で太宗を占めているのではないかと思われます。

さて、だいぶ長くなりましたが、日本に住む外国人全体のプロフィールを、「在留資格」「国籍」「男女別・年齢別」の切り口でブレークダウンして、3回にわたって細かく見てきました。日本にはすでに2百万人を超える多くの外国人が住んでいて、年間に日本に入出国する外国人の数は延べ1,500万人を超えます。外国人については、海外や国内で起きた事件のニュースに反射的に反応して、「移民」や「難民」のようなきわめて抽象的で曖昧な概念を巡って感情的な意見が表明されることが多いですが、意見を簡単に決める前に、全体の現状のデータを知ってどのような将来の姿(数値)を目標とするべきかを議論することが重要なのではないかと思います。


 

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