三次産業とGDP

 2006年10-12月期四半期GDPは上方修正される可能性が出てきたらしいのですが、市場相場の方はむしろ逆の方向に動いています。為替市場が円高方向に動くのは経済や貿易や国際収支の実態と合っているので是正の動きとも理解できますが、他方で株式市場も大幅下落を続けています。世界同時株安は上海市場からスタートしてすでに世界を何周かしました。問題は日本の経済でも中国の経済でもなく、どうやらアメリカ経済に対する見方の「トーンダウン」をきっかけとした投資資金の利食い手仕舞いの動きのようにも思われます。株式市場には、久方ぶりに一本調子で上がってきた居心地の悪さは少しありました。やはり、市場は実体経済の動きと連動するとは必ずしも限らないということです。でも、何にせよ上げ下げが激しいことは、市場の売買活動で稼ぐ人たちにはとても喜ばしいことに違いありません。

さて、製造業の業種別のGDP貢献度と成長(縮小)トレンドを見たので、それ以外の三次産業のGDP貢献度と成長トレンドも業種別にブレークダウンしてみたいと思います。

下のグラフは、国民経済計算(SNA)による名目国内総生産に占める三次産業の業種別推移を、1970年から2005年までの35年間についてトレースしたものです。繰り返しますが、これは各産業の売上高や利益額ではなくそれらの産業の「国内付加価値額」に相当します。

三次産業GDP


やはり、国内付加価値額に相当するものなので、売上高などの産業規模のイメージとはかなりかけ離れた結果になります。不動産業の太宗を締める住宅賃貸業が最も大きく、卸売業小売業の2倍近く、サービス業のうちの対事業所サービス対個人サービスがそれに続きます。公共サービスは民間の営利の公共的サービス事業で、政府サービス業公務は公的な「政府サービス生産者」に含まれるサービスです。

このグラフを見て特筆すべきことは、非製造業はバブル崩壊後も1997年までは拡大成長が続き、1988年以降も全体としては横ばい傾向程度にとどまっていることです。これは、製造業がバブル崩壊直後の1992年からすぐに縮小傾向に大きく転換し、全体としてはなお縮小傾向から抜け出せていないのとはきわめて大きく異なっています。

そこで、これまでと同様、このデータを指数化(1970=100)して35年間の成長率の比較をしてみたのが次の二つのグラフです。業種ごとの成長拡大率にきわめて大きな格差があるので、成長率のきわめて高いものとそれ以外にグラフを分ける必要がありました。

三次産業拡大1

三次産業拡大2


時期的には製造業より少し遅れていますが、バブル崩壊以降縮小傾向に転じているのは、建設業卸売業小売業電気業(電力業)で、対個人サービスは横這いです。したがって、それ以外の業種が拡大成長を続けたことによって、非製造業全体の拡大成長が続きました。規模と成長率の両面で成長を支えたのは、住宅賃貸業対事業所サービス金融保険業公共サービス、および公務で、民間では最初の4つに絞られます。

名目GDPの縮小を防止し緩やかでも安定的な拡大を実現していくためには、どうやらこれらの4つの業種の拡大成長に期待していく必要があると思われます。

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