アメリカの産業構造(その1)

 GDPはどういうものかという話を日本のデータを使って説明するのはかなり大変な作業になります。<GDPを知りたい(その1)>で使用したデータも、あとから少し整合性に問題があることに気付きました。データが部分毎になっていて、それらを集計して積上げ全体に一致させるのはきわめて大変で、誤りを起こしやすい作業になってしまうからです(自分が少し間違ったことの言い訳ですが)。

それに対して、アメリカの方は、逆に全体から詳細内訳にブレークダウンしていけるようにデータがはじめから整理されているので、非常にハンドリングがし易くなっています。それで、そっちを使ってみることにしました。

さて、GDPは国内の経済活動によって産み出された「付加価値(Value Added)」の総計でした。産業別の付加価値貢献度はどのようになっているのか、すなわちどの産業がどれだけ国内付加価値実現に貢献しているのか内訳を見てみたくなります。次の円グラフは、2005年暦年のアメリカのGDPの(中分類区分の)産業別構成を描いたものです。
USA産業構成

2005年のアメリカの名目GDPは12兆4,558億ドルでした。このうち12.6%の1兆5,636億ドルは政府(Government)で、民間産業(Private industries)は87.4%の10兆8,922億ドルを占めました。

農林水産業(Agriculture, forestry, fishing, and hunting)はGDP全体の1.0%の1,231億ドル、鉱業(Mining)は同1.9%の2,333億ドル、建設業(Construction)は同4.9%の6,111億ドル、製造業(Manufacturing)は同12.1%の1兆5,125億ドルを占め、これら1次・2次産業合計でGDP全体の19.9%の2兆4,800億ドルしか占めていません。これらの産業が重要ではないということではありませんが、これらのモノ作り産業の動向がアメリカ経済に与える影響は限定的であることは明らかです。

金融・保険(Finance and insurance)がGDP全体の7.7%の9,577億ドル、不動産・リース(Real estate and rental and leasing)が同12.7%の1兆5,784億ドル、専門および業務サービス(Professional and business services)が同11.7%の1兆4,588億ドル、教育サービス・ヘルスケア・ソーシャルアシスタンス(Educational services, health care, and social assistance)が同7.8%の9,753億ドルで、これら4つでGDP全体の実に39.9%の4兆9,702億ドルを占めます。

不動産・リースのうち不動産(real estate)がGDP全体の11.8%の1兆4,726億ドルを占めていますが、日本と同様に持ち家の帰属家賃が含まれているため巨大になっている事情があります。それを控除しても、この4つでGDPの約28%の3兆5千億ドルを占めます。

これらの(中分類区分の)産業の歴史的成長経緯を見るために実数データを指数化し、グラフにしたものが次の図です。(中分類区分の)産業別データは、1947年から2005年までの58年間について提供されています。1947年=100として指数化し、(中分類区分の)産業分野別成長トレンドを見てみます。
USA産業成長指数

これによって、上で述べた4つの産業区分の成長がきわめて著しかったことは明らかです。

この間の名目GDPの成長を上回る成長を遂げてきたモノに関わる産業は、公益事業(Utilities)・建設業(Construction)・不動産およびリース(Real estate and rental and leasing )だけです。鉱業(Mining)が原油価格高騰時だけ大きく上振れしていますが、運輸倉庫(Transportation and warehousing)・卸売(Wholesale trade)・小売(Retail trade)などの流通産業を含め、モノに関わる産業は付加価値貢献度が一貫して低下し、名目GDP成長トレンドから下方乖離を続けています。

1977年以降については、更に細かい産業分類にブレークダウンできる詳細データも提供されていますから、次回はそれを使ってこの傾向の中身をより詳しく見ていくことにします。

※ データはアメリカのBureau of Economic Analysisのサイトからダウンロードしたものですが、グラフはそれを加工して個人的に作成したものです。

コメント
すごく参考になりました★
救世主です
  • cobb
  • 2013/05/04 3:00 PM
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